結論:+1 844 は、北米(米国・カナダなど)のフリーダイヤル番号帯です。
番号そのものは実在しますが、身に覚えのない着信は実在するフリーダイヤル番号を騙った偽装の可能性が高く、企業を装う詐欺に悪用されています。折り返さないでください。
スマートフォンや固定電話に「+1 844」から始まる番号で着信があり、どこからの電話なのか調べに来られた方が多いと思います。
この記事では、+1 844 がどういう番号帯なのかを北米番号計画の資料で確認したうえで、なぜ身に覚えのない着信が届くのか、そして着信履歴が残っていたときにどうすべきかを、電気通信の仕組みから解説します。
+1 844 はどこの国?【結論:北米の番号】
+1は北米番号計画(NANP)の国番号
+1 は、米国・カナダを中心とする北米の国番号です。ひとつの国番号を複数の国・地域が共有しており、米国とカナダのほか、カリブ海の20あまりの国・地域も +1 を使用しています。日本の +81 のように「1国=1番号」ではない点が特徴です。
この +1 の内側では、市外局番にあたる3桁の番号(NPA)で地域やサービスを区別します。844 はそのうちのひとつです。
844 は北米のフリーダイヤル番号帯
2013年に追加された番号帯です。2010年代に入ってコールセンターやサポート窓口の需要が再び増え、855 に続いて短い間隔で投入されました。
フリーダイヤルとは、通話料を発信者ではなく着信者(企業側)が負担する番号のことです。日本の 0120・0800 にあたります。企業のサポート窓口や問い合わせ先として広く使われています。
新しい番号帯のため利用者に馴染みが薄く、かえって「知らない番号」として警戒されにくい面があります。
北米のフリーダイヤル番号帯の一覧
北米でフリーダイヤルとして使われる番号帯は、次のとおり限られています。
| 番号帯 | 状態 | 備考 |
|---|---|---|
| +1 800 | 運用中(1966年導入) | ― |
| +1 822 | 予約のみ・未運用 | ― |
| +1 833 | 運用中(2017年導入) | ― |
| +1 844 | 運用中(2013年導入) | この記事の番号帯 |
| +1 855 | 運用中(2010年導入) | ― |
| +1 866 | 運用中(2000年導入) | ― |
| +1 877 | 運用中(1998年導入) | ― |
| +1 888 | 運用中(1996年導入) | ― |
822 のほか 880〜887、889 も将来のフリーダイヤル用に予約されていますが、現時点では運用されていません。
実在する番号帯なのに、なぜ不審な着信があるのか
発信者番号は偽装できる
理由は、電話の発信者番号は技術的に偽装できるからです。
現在の国際電話の多くは、インターネット回線を経由する IP電話(VoIP) でやり取りされています。VoIP では、発信側のシステムが「発信者番号」として任意の文字列を通知できます。これを CLIスプーフィング(発信者番号偽装) と呼びます。
国内通信であれば事業者間で番号の正当性がある程度チェックされますが、国際区間をまたぐ通話では、通知された番号が本物かどうかを受信側で検証する仕組みが十分に機能しません。その結果、実際の発信元とは無関係な番号がそのまま日本の端末に表示されます。
実在するフリーダイヤルを騙る意味
偽装に実在のフリーダイヤル番号が使われるのには理由があります。
- 企業を装える:フリーダイヤルは企業の窓口番号という印象が強いため、「正規の連絡だろう」と思わせやすくなります。銀行・宅配業者・通信会社などを名乗る手口と組み合わせて使われます。
- ブロックされにくい:明らかに怪しい番号帯は端末やサービス側で弾かれることがありますが、実在するフリーダイヤルは正規の着信と区別がつきにくく、フィルタをすり抜けやすくなります。
- 実在企業の番号がそのまま使われることがある:無関係の企業が実際に使用している番号を騙るケースもあります。この場合、その企業に問い合わせが殺到するという二次被害も起きています。
したがって、着信履歴に +1 844 の番号が残っていても、その番号の持ち主が電話をかけてきたとは限りません。表示は「発信者がその番号を名乗った」という以上の意味を持たないのです。
+1 844 は詐欺に使われている|警察庁・総務省・電話会社の注意喚起
国際電話番号を使った特殊詐欺については、警察庁・総務省・大手通信各社がそろって公式に注意喚起を出しています。
※ 各機関の注意喚起は「国際電話番号を使った特殊詐欺」全般を対象としたものです。「+1 844」を名指しした公的発表は、現時点では確認されていません。
警察庁:国際電話番号の犯行利用が急増
警察庁は特殊詐欺対策ページ「SOS47」で、令和5年(2023年)7月以降、特殊詐欺での国際電話番号の犯行利用が急増していると公表しています(2024年12月18日)。対策として国際電話の利用休止を案内し、高齢者世帯には申込書の配布などの支援まで行っています。
総務省:相談窓口「でんわんセンター」を開設
総務省は2025年6月10日、迷惑電話対策の相談窓口「でんわんセンター」を開設しました。「知らない番号から電話がかかってきた」「自動音声の不審な電話がかかってくる」といった相談を無料で受け付けています。
- 迷惑電話対策相談センター「でんわんセンター」(総務省事業)
- 電話:03-6162-1111(平日10時〜17時/土日祝・年末年始を除く)
電話会社:ワン切りによる高額請求を警告
ソフトバンクは2025年6月10日の告知で、「着信履歴を残すことで受信者に折り返しを促し、高額な通話料金を請求する」ワン切り詐欺の手口を具体的に説明し、心当たりのない国際電話番号に折り返さないよう呼びかけています。大阪府警をはじめ各都道府県警察や自治体も同様の注意喚起を行っています。
+1 844 に折り返してはいけない理由
着信履歴が残っていると折り返したくなりますが、+1 844 への折り返しは避けてください。理由は3つあります。
- 接続先が表示と異なる可能性がある:表示番号が偽装されている以上、折り返し先が何につながるかは事前に判断できません。高額課金の番号に転送される手口があります。
- 国際通話料が発生する:フリーダイヤルの料金が無料になるのは北米国内から発信した場合です。日本から国際電話としてかけると、通常の国際通話料が発生します。「フリーダイヤルだから無料」と考えるのは誤りです。
- 「反応する番号」として記録される:折り返す行為自体が「この番号は使われていて、電話に反応する人物がいる」という情報になります。以降、迷惑電話が増える可能性があります。
正当な相手であれば、留守番電話にメッセージを残すか、別の手段で改めて連絡してきます。折り返す必要はありません。
+1 844 に電話をかけるといくらかかる?【通話料金】
通話料はかけた側が負担します。着信に折り返した時点で、料金を払うのは着信を受けたあなたです。相手が国際電話をかけてきたこと自体には、あなたの料金は発生しません。
+1 844 は北米国内のフリーダイヤルです。無料になるのは北米国内からかけた場合だけで、日本からかけても無料にはなりません。
それどころか、北米のフリーダイヤルは国外からの着信を受け付けない設定になっていることが多く、日本から発信してもつながらないのが通常です。国内4社の国際通話料金表にも、この番号帯を単独で示した料金の記載はありません。
つまり +1 844 の着信履歴に折り返しても、多くの場合はつながりません。つながる場合は発信者番号が偽装されていてまったく別の番号につながっていると考えるべきです。
料金はいずれも30秒あたりの金額です。国際通話料に消費税は加算されません。料金は改定されることがあります。発信前に契約中の会社の公式ページで最新の金額をご確認ください。
出典:
- NTTドコモ(WORLD CALL)(2023年10月11日現在)
- au(KDDI)(2024年6月現在)
- ソフトバンク・ワイモバイル(2025年3月19日時点)
- 楽天モバイル(2023年6月1日時点)
+1 844 の電話に出てしまったときの対処
出ただけで通話料は請求される?
請求されません。 日本の電話サービスでは、国内で電話を受ける側に通話料が課金されない仕組みが原則です。国際電話であっても、着信した側に国際通話料が請求されることはありません。費用が発生するのは、こちらから国際電話をかけた場合だけです。だからこそ、相手は折り返させようとします。
やってはいけないこと
- 折り返し発信する
- 自動音声の指示に従って番号(「1を押してください」等)を入力する
- 氏名・住所・生年月日・口座番号・暗証番号・カード番号を答える
- 案内された URL や SMS のリンクを開く、アプリをインストールする
やるべきこと
- 何も答えず、すぐに切る(無言で切って構いません)
- 番号を着信拒否に登録する
- 実在の企業や公的機関を名乗られた場合は、相手が言った番号ではなく公式サイトに記載された番号にこちらからかけ直して確認する
- 個人情報を答えてしまった、金銭を要求されたという場合は、警察相談専用電話 #9110 または消費者ホットライン 188 に相談する
公的機関が国際電話番号から連絡してくることはありません。
+1 844 からの着信をブロックする方法
スマートフォンの設定でブロックする
- iPhone:着信履歴の番号右側の「i」→「この発信者を着信拒否」。「設定」→「アプリ」→「電話」→「不明な発信者を消音」をオンにすると、連絡先にない番号を鳴らさずに処理できます。
- Android:着信履歴の番号を長押し→「ブロック」または「迷惑電話として報告」。「迷惑電話とスパムの保護」をオンにしておくと自動で警告されます。
- 各社の迷惑電話対策サービス:ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルがそれぞれ提供しています。提供内容と料金は契約中の会社の公式ページでご確認ください。
ただし発信者番号は毎回変えられるため、1件ずつのブロックでは追いつかないことがあります。
国際電話そのものを止める
海外と電話をやりとりする予定がないなら、国際電話の発着信を契約単位で止めるのが最も確実です。いずれも無料で申し込めます。
- 国際電話不取扱受付センター:0120-210-364(オペレーター受付は平日9時〜17時、自動音声は24時間・無料)。固定電話の国際電話の発信を停止できます。希望すれば海外からの着信も止められます。
- NTTドコモ:151(ドコモの携帯から)/0120-800-000
- au(KDDI):157(auの携帯から)/0077-7-111
- ソフトバンク・ワイモバイル:157(ソフトバンクの携帯から)/0800-919-0157
- 楽天モバイル:my 楽天モバイルから国際通話の利用を停止
警察や自治体、国民生活センターも特殊詐欺対策としてこの手続きを案内しています。国際電話を使わないご家庭、特に高齢のご家族の電話には有効な対策です。
+1 844 に関するよくある質問
+1 844 はどこの国の番号ですか?
米国・カナダを中心とする北米の番号です。+1 は北米番号計画(NANP)の国番号で、844 はフリーダイヤル(通話料を着信側が負担する番号)の番号帯です。
+1 844 は実在する番号ですか?
番号帯としては実在し、多くの企業が正規のフリーダイヤルとして使用しています。ただし発信者番号は技術的に偽装できるため、着信に表示された番号が本物である保証はありません。
+1 844 に折り返すとどうなりますか?
折り返さないでください。表示番号が偽装されている場合、実際の接続先は表示とは別の番号であり、高額課金の番号につながる恐れがあります。また折り返す行為自体が「反応する番号」として記録され、迷惑電話が増える原因になります。
+1 844 の電話に出てしまいました。料金は請求されますか?
請求されません。日本では電話を受けた側に通話料が課金されない仕組みが原則で、国際電話でも同じです。料金が発生するのは、こちらから発信した場合のみです。
まとめ
- +1 は米国・カナダなど北米の国番号(NANP)
- 844 は北米のフリーダイヤル番号帯で、2013年に導入された
- 番号自体は実在するが、着信表示は偽装できるため本物とは限らない
- 受けただけ・出ただけでは料金は発生しない
- 折り返しは厳禁。日本から発信すれば国際通話料がかかる
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- +1 855 から始まる電話はどこから?北米のフリーダイヤル
- +1 866 から始まる電話はどこから?北米のフリーダイヤル
- +1 877 から始まる電話はどこから?北米のフリーダイヤル
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+1帯(北米番号計画)(この記事と同じ帯)
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ゾーン1(北米番号計画)のほかの番号帯
ほかのゾーンの国番号
- +20 はどこの国?エジプトの国番号 ― ゾーン2(アフリカ)
- +30 はどこの国?ギリシャの国番号 ― ゾーン3(ヨーロッパ)
- +40 はどこの国?ルーマニアの国番号 ― ゾーン4(ヨーロッパ)
- +51 はどこの国?ペルーの国番号 ― ゾーン5(中南米)
- +60 はどこの国?マレーシアの国番号 ― ゾーン6(東南アジア・オセアニア)
- +7 はどこの国?ロシア・カザフスタンの国番号 ― ゾーン7(ロシア・カザフスタン)
- +81 はどこの国?日本の国番号 ― ゾーン8(東アジア・南アジア)
- +90 はどこの国?トルコの国番号 ― ゾーン9(西アジア・中央アジア)
- +800はどこの国?国際フリーフォン(UIFN)の番号 ― 国際サービス用(国ではない番号)
参考・相談先
番号の割り当てを確認した情報
公的機関・電話会社の注意喚起
- 警察庁 SOS47「国際電話番号による特殊詐欺が急増中!」(2024年12月18日)
- 総務省「迷惑電話対策相談に関する『でんわんセンター』の開設」
- ソフトバンク「国際電話を悪用した特殊詐欺に関するご注意」(2025年6月10日)
相談窓口
- でんわんセンター(総務省事業):03-6162-1111(平日10時〜17時)
- 国際電話不取扱受付センター:0120-210-364
- 警察相談専用電話:#9110/消費者ホットライン:188
最終更新:2026年7月31日/番号の割り当て状況は NANPA および ITU-T 勧告 E.164 をもとに確認しています。

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