結論:+990 は、どの国にも割り当てられていない国番号です。
国際電話番号のルールを定める ITU-T 勧告 E.164 で「未割当」とされており、
+990 で始まる電話番号は本来存在しません。表示された「+990」は
発信者番号を偽装したものです。折り返さないでください。
スマートフォンや固定電話に、身に覚えのない「+990」から始まる番号で着信があり、不安になって検索された方が多いと思います。
この記事では、+990 が何なのかを ITU の一次情報で確認したうえで、なぜ存在しない番号から電話がかかってくるのか、そして着信履歴が残っていたときに何をすべきかを、電気通信の仕組みから解説します。
+990はどこの国?【結論:どの国にも割り当てられていない】
+990 は、どこの国の番号でもありません。「+990 = ○○国」という対応は存在せず、発信国を特定することもできません。
国番号990はITU-T勧告E.164の未割当コード
国際電話の国番号(カントリーコード)は、国連の専門機関である ITU(国際電気通信連合) が勧告 E.164 で一元管理しています。どの番号をどの国に割り当てるかは ITU が決定するため、各国や事業者が独自に番号を名乗ることはできません。
この E.164 の割当表において、990 は未割当です。将来どこかの国やサービスに割り当てられる可能性を残して空けてある番号であり、現在どこにも交付されていません。
つまり +990 から始まる電話番号は、国際的な番号計画上、発番されることがない番号です。
+990と間違えやすい国番号一覧(990〜999)
990番台は、旧ソ連圏の国々に割り当てられた番号と、未割当の番号が混在しています。+990 はその先頭に位置します。
| 国番号 | 国・地域 | 備考 |
|---|---|---|
| +990 | ― | 未割当(この記事の番号) |
| +991 | ― | 国際共用(非地理的サービス用) |
| +992 | タジキスタン | 中央アジア |
| +993 | トルクメニスタン | 中央アジア |
| +994 | アゼルバイジャン | コーカサス |
| +995 | ジョージア | コーカサス |
| +996 | キルギス | 中央アジア |
| +997 | ― | 未割当 |
| +998 | ウズベキスタン | 中央アジア |
| +999 | ― | 将来のグローバルサービス用に予約 |
990番台で未割当なのは 990・997・999 の3つです。それ以外は実在する国、または後述するサービス用に割り当てられています。
隣の+991は「国ではなくサービス用の番号」
ここは混同されやすい点なので補足します。+991 は未割当ではありませんが、どこかの国に割り当てられているわけでもありません。
991 は 国際共用の非地理的サービス用コードとして確保されています。特定の国に紐づかず、国境をまたいで提供される通信サービスのために用意された枠です。国番号には、このように「国」ではなく「サービス」に割り当てられるものがあります。
つまり 990番台には、次の3種類が混在していることになります。
- 国に割り当て済み:992〜996、998(いずれも旧ソ連圏)
- サービス用に確保:991
- 未割当:990・997・999
+990 は3番目に該当します。実在する番号に囲まれているため本物らしく見えますが、番号としては存在しません。
991 が具体的に何のための番号なのかは、+991はどこの国?国番号991は試験用の共用コードで詳しく解説しています。
存在しない+990から着信があるのはなぜ?
ここが多くの方が引っかかるところです。存在しない番号なら、なぜ着信履歴に残るのでしょうか。
発信者番号は偽装できる(CLIスプーフィング)
答えは、電話の発信者番号は技術的に偽装できるからです。
現在の国際電話の多くは、インターネット回線を経由する IP電話(VoIP) でやり取りされています。VoIP では、発信側の機器やシステムが「発信者番号」として任意の文字列を通知できます。これを CLIスプーフィング(発信者番号偽装) と呼びます。
日本国内の通信であれば事業者間で番号の正当性がある程度チェックされますが、国際区間をまたぐ通話では、通知された番号が本物かどうかを受信側で検証する仕組みが十分に機能しません。その結果、割り当てすらされていない「+990」がそのまま日本の端末に表示されてしまいます。
したがって、着信履歴に「+990」と残っていても、それは「+990という国から電話が来た」のではなく「発信者が+990と名乗った」にすぎません。実際の発信元はまったく別の国や、日本国内の IP 電話である可能性もあります。
なぜ「存在しない番号」がわざわざ使われるのか
偽装するなら実在する番号を使えばよさそうですが、未割当のコードが選ばれる背景には次のような事情が考えられます。
- 照会先が存在しない:実在する国の番号を騙ると、その国の事業者を通じた照会の余地が生まれますが、未割当コードには照会先そのものがありません。
- 番号の自動生成:発信システムが番号を機械的に大量生成している場合、割り当ての有無を確認せずに送出されることがあります。
- ブロックリストの回避:特定国からの着信を一括で拒否している環境を、未割当コードですり抜けようとするケースも指摘されています。
いずれにせよ、正規の通信事業者が正規の手続きで発信している電話ではないことは確実です。日本の電話番号あてに無差別へ大量発信されているため、心当たりがなくても着信します。
+990は詐欺に使われている|警察庁・総務省・電話会社の注意喚起
「+990 が危険」というのは、個人の体感や口コミだけの話ではありません。国際電話番号を使った特殊詐欺については、警察庁・総務省・大手通信各社がそろって公式に注意喚起を出しています。
※ 各機関の注意喚起は「国際電話番号を使った特殊詐欺」全般を対象としたものです。「+990」を名指しした公的発表は、現時点では確認されていません。ただし +990 は、注意喚起が対象とする典型的な手口(発信者番号偽装・ワン切り)に該当します。
警察庁:令和5年7月以降、国際電話番号の犯行利用が急増
警察庁は特殊詐欺対策ページ「SOS47」において、令和5年(2023年)7月以降、特殊詐欺で国際電話番号が犯行に使われるケースが急増していると公表しています(2024年12月18日公表)。
対策として、国際電話3社(KDDI・NTTコミュニケーションズ・ソフトバンク)が提供する「国際電話不取扱受付センター」での無償の利用休止を案内しており、警察自身が高齢者世帯などに対して申込書や送付用封筒の配布といった手続き支援まで行っています。
総務省:相談窓口「でんわんセンター」を開設
総務省も、心当たりのない国際電話番号には出ない・折り返さない、海外との通話が不要なら国際電話の発着信を休止する、と繰り返し呼びかけています。
さらに2025年6月10日、迷惑電話対策の相談窓口「でんわんセンター」を開設しました。「知らない番号から電話がかかってきた」「自動音声の不審な電話がかかってくる」といった相談を無料で受け付けており、国際電話不取扱受付センターと連携して利用休止の申し込みもサポートしています。
- 迷惑電話対策相談センター「でんわんセンター」(総務省事業)
- 電話:03-6162-1111(平日10時〜17時/土日祝・年末年始を除く)
- 相談料無料(通話料は自己負担)
電話会社:ワン切りによる高額請求を警告
ソフトバンクは2025年6月10日の告知で、「着信履歴を残すことで受信者に折り返しを促し、高額な通話料金を請求する」ワン切り詐欺の手口を具体的に説明し、心当たりのない国際電話番号に折り返さないよう呼びかけています。大阪府警をはじめ各都道府県警察や自治体、国民生活センターも同様の注意喚起を行っています。
実際に報告されている手口には、中国語の自動音声で用件を告げるもの、通信会社や大手企業の名前を名乗って未払い料金を請求するもの、警察官や公的機関の職員を装うものなどがあります。公的機関が国際電話番号から連絡してくることはありません。
+990に折り返してはいけない理由
着信履歴が残っていると「大事な用件だったら」と折り返したくなりますが、+990 への折り返しは避けてください。
そもそもつながらない
+990 は未割当のため、正常な国際電話網ではルーティング先が存在しません。多くの場合、発信しても「おかけになった電話番号は現在使われておりません」といったアナウンスが流れるか、接続エラーになります。
それでも折り返しが危険な理由
- 番号を1桁見誤るリスク:+990 を +991 や +992(タジキスタン)と打ち間違えると、実際に国際通話が成立し、通常の国際通話料が発生します。990番台は実在する番号が密集しているため、押し間違いが起きやすい並びです。
- ワン切り詐欺(Wangiri)の構造:国際的なワン切り詐欺では、折り返し先が高額課金の番号(プレミアムレート番号)に設定されており、数十秒つないだだけで高額請求が発生する手口があります。表示番号が偽装されている以上、折り返し先が何につながるかは事前に判断できません。
- 「反応する番号」として記録される:折り返すという行為自体が「この番号は使われていて、電話に反応する人物がいる」という情報になります。以降、詐欺グループのリストに載り、着信が増える可能性があります。
正当な相手であれば、留守番電話にメッセージを残すか、日本国内の番号やメールなど別の手段で再度連絡してきます。折り返す必要は一切ありません。
+990 に電話をかけるといくらかかる?【通話料金】
通話料はかけた側が負担します。着信に折り返した時点で、料金を払うのは着信を受けたあなたです。相手が国際電話をかけてきたこと自体には、あなたの料金は発生しません。
+990 は国際電気通信連合(ITU-T E.164)で国に割り当てられていないため、どの携帯電話会社も料金を設定していません。ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルのいずれの国際通話料金表にも +990 の記載はありません。
割り当てのない番号には接続先が存在しないので、発信してもつながりません。着信履歴に +990 が表示されていたのであれば、その番号は発信者番号を偽装したものです。料金以前に、折り返す相手が実在しません。
料金はいずれも30秒あたりの金額です。国際通話料に消費税は加算されません。料金は改定されることがあります。発信前に契約中の会社の公式ページで最新の金額をご確認ください。
出典:
- NTTドコモ(WORLD CALL)(2023年10月11日現在)
- au(KDDI)(2024年6月現在)
- ソフトバンク・ワイモバイル(2025年3月19日時点)
- 楽天モバイル(2023年6月1日時点)
+990の電話に出てしまったときの対処
すでに出てしまった方向けの説明です。まず落ち着いてください。出ただけで直ちに金銭的被害が発生することはありません。
出ただけで通話料は請求される?
請求されません。 日本の電話サービスでは、国内で電話を受ける側に通話料が課金されない仕組みが原則です。国際電話であっても、着信した側に国際通話料が請求されることはありません。費用が発生するのは、あくまでこちらから国際電話をかけた場合だけです。だからこそ、相手は折り返させようとします。
やってはいけないこと
- 折り返し発信する
- 自動音声の指示に従って番号(「1を押してください」等)を入力する
- 氏名・住所・生年月日・口座番号・暗証番号・カード番号を答える
- 案内された URL や SMS のリンクを開く、アプリをインストールする
- 「電話を切らないでください」という指示に従い続ける
やるべきこと
- 何も答えず、すぐに切る(無言で切って構いません)
- 番号を着信拒否に登録する
- 実在の企業や公的機関を名乗られた場合は、相手が言った番号ではなく公式サイトに記載された番号にこちらからかけ直して確認する
- 個人情報を答えてしまった、金銭を要求されたという場合は、警察相談専用電話 #9110 または消費者ホットライン 188 に相談する
+990 からの着信をブロックする方法
スマートフォンの設定でブロックする
- iPhone:着信履歴の番号右側の「i」→「この発信者を着信拒否」。「設定」→「アプリ」→「電話」→「不明な発信者を消音」をオンにすると、連絡先にない番号を鳴らさずに処理できます。
- Android:着信履歴の番号を長押し→「ブロック」または「迷惑電話として報告」。「迷惑電話とスパムの保護」をオンにしておくと自動で警告されます。
- 各社の迷惑電話対策サービス:ドコモ・au・ソフトバンク・楽天モバイルがそれぞれ提供しています。提供内容と料金は契約中の会社の公式ページでご確認ください。
ただし発信者番号は毎回変えられるため、1件ずつのブロックでは追いつかないことがあります。
国際電話そのものを止める
海外と電話をやりとりする予定がないなら、国際電話の発着信を契約単位で止めるのが最も確実です。いずれも無料で申し込めます。
- 国際電話不取扱受付センター:0120-210-364(オペレーター受付は平日9時〜17時、自動音声は24時間・無料)。固定電話の国際電話の発信を停止できます。希望すれば海外からの着信も止められます。
- NTTドコモ:151(ドコモの携帯から)/0120-800-000
- au(KDDI):157(auの携帯から)/0077-7-111
- ソフトバンク・ワイモバイル:157(ソフトバンクの携帯から)/0800-919-0157
- 楽天モバイル:my 楽天モバイルから国際通話の利用を停止
警察や自治体、国民生活センターも特殊詐欺対策としてこの手続きを案内しています。国際電話を使わないご家庭、特に高齢のご家族の電話には有効な対策です。
+990に関するよくある質問
+990はどこの国の番号ですか?
どの国の番号でもありません。国番号990はITU-T勧告E.164で未割当とされており、どの国にも割り当てられていません。表示されている+990は発信者番号を偽装したものです。
+990と+991は何が違うのですか?
990は未割当ですが、991は国際共用の非地理的サービス用コードとして確保されています。991も特定の国に割り当てられているわけではなく、国境をまたいで提供される通信サービスのための枠です。どちらも「+99Xという国」は存在しません。
+990に折り返すとどうなりますか?
未割当のため通常はつながりませんが、+991や+992(タジキスタン)と押し間違えると実際に国際通話料が発生します。また折り返す行為自体が「反応する番号」として記録され、迷惑電話が増える原因になります。
+990の電話に出てしまいました。料金は請求されますか?
請求されません。日本では電話を受けた側に通話料が課金されない仕組みが原則で、国際電話でも同じです。料金が発生するのは、こちらから発信した場合のみです。
+990から何度もかかってきます。どうすればいいですか?
着信拒否への登録に加え、スマートフォンなら「不明な発信者を消音」などの機能や通信各社の迷惑電話対策サービスを利用してください。固定電話の場合は、国際電話不取扱受付センター(0120-210-364)で国際電話の利用を無料で休止できます。
まとめ
- +990 はどの国にも割り当てられていない未割当の国番号(ITU-T E.164)
- 990番台で未割当なのは 990・997・999 の3つ。991 は国ではなくサービス用に確保されている
- 着信履歴に残るのは発信者番号が偽装されているため
- 受けただけ・出ただけでは料金は発生しない
- 折り返しは厳禁。特に +991・+992 との押し間違いに注意
- 着信が続く場合は着信拒否+迷惑電話対策サービス、固定電話は国際電話の利用休止を検討
ご家族、特に高齢の方の電話にも同じ着信が届いている可能性があります。この記事を共有していただけると、被害の防止につながります。
国番号に関する関連記事
ほかの国番号についても同じように解説しています。割り当ての有無や国の事情はそれぞれ異なりますが、身に覚えのない着信への対処法は共通します。
99x帯(中央アジア・コーカサス)(この記事と同じ帯)
- +991はどこの国?国番号991は試験用の共用コード
- +992 はどこの国?タジキスタンの国番号
- +993 はどこの国?トルクメニスタンの国番号
- +994 はどこの国?アゼルバイジャンの国番号
- +995 はどこの国?ジョージアの国番号
- +996 はどこの国?キルギスの国番号
- +997はどこの国?国番号997は未割当
- +998 はどこの国?ウズベキスタンの国番号
- +999はどこの国?国番号999は将来用の予約
ゾーン9(西アジア・中央アジア)のほかの番号帯
ほかのゾーンの国番号
- +1はどこの国?アメリカ・カナダなど20か国が共有 ― ゾーン1(北米番号計画)
- +20 はどこの国?エジプトの国番号 ― ゾーン2(アフリカ)
- +30 はどこの国?ギリシャの国番号 ― ゾーン3(ヨーロッパ)
- +40 はどこの国?ルーマニアの国番号 ― ゾーン4(ヨーロッパ)
- +51 はどこの国?ペルーの国番号 ― ゾーン5(中南米)
- +60 はどこの国?マレーシアの国番号 ― ゾーン6(東南アジア・オセアニア)
- +7 はどこの国?ロシア・カザフスタンの国番号 ― ゾーン7(ロシア・カザフスタン)
- +81 はどこの国?日本の国番号 ― ゾーン8(東アジア・南アジア)
- +800はどこの国?国際フリーフォン(UIFN)の番号 ― 国際サービス用(国ではない番号)
参考・相談先
国番号の割り当てを確認した一次情報
公的機関・電話会社の注意喚起
- 警察庁 SOS47「国際電話番号による特殊詐欺が急増中!」(2024年12月18日)
- 総務省「迷惑電話対策相談に関する『でんわんセンター』の開設」
- ソフトバンク「国際電話を悪用した特殊詐欺に関するご注意」(2025年6月10日)
- 大阪府警察「みんなでとめよう!国際電話詐欺!」
相談窓口
- でんわんセンター(総務省事業):03-6162-1111(平日10時〜17時)
- 国際電話不取扱受付センター:0120-210-364
- 警察相談専用電話:#9110/消費者ホットライン:188
最終更新:2026年7月31日/国番号の割り当て状況は ITU-T 勧告 E.164 の割当表をもとに確認しています。

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